小林可夢偉は10年遅れのヤルノ・トゥルーリだったのだ――さよなら大好きなフォーミュラ1

 2014年のF1が閉幕を迎えると、当初から予想されていたとおり、グリッド上唯一の日本人ドライバーだった小林可夢偉はそのシートを失った。ケータハムの車はサーキットでつねに最も遅く、その中で小林はチームメイトの新人マーカス・エリクソンを圧倒し、時に予選でライバルであるマルシャのマックス・チルトンを破る抵抗も見せたが、最後尾でのささやかな活躍が2015年のシートに繋がる可能性を信じられた人はたぶんほとんどいなかったし、事実移籍先を見つけられることなく、日本のスーパーフォーミュラへと戦いの場を移すことになった。2012年に一度シートを失い、細い糸をかろうじて手繰って手に入れた居場所の、再度の喪失である。近年の情勢からいって復帰への道はきわめて厳しく、彼のF1での戦いにはひとまず終止符が打たれたと言わざるをえない。新たな世代がのし上がってこないかぎり、日本人ドライバーのいないF1サーカスはしばらく続くことになる。
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2014年F1参戦ドライバーの仮定スーパーライセンスポイント

この記事は、別掲「小林可夢偉は10年遅れのヤルノ・トゥルーリだったのだ――さよなら大好きなフォーミュラ1」の参照ページです。2016年度からスーパーライセンス交付基準に下位カテゴリーの実績に応じて付与されるポイントが適用されるとの決定に合わせ、2014年に参戦したドライバーがF1デビュー直前の3年間でどれだけのポイントを獲得したかを推計しました。詳しくは本文を参照していただきたいのですが、ペイドライバーと言われている若手の多くが基準の40点をクリアしている一方で、チャンピオン経験者がハミルトンを除いて軒並み達していないのが興味深いところでしょう。

■セバスチャン・ベッテル(07年デビュー)
06年 F3ユーロシリーズ(ヨーロッパF3の前身) 2位(30点)
05年 F3ユーロシリーズ 5位(8点)
04年 フォーミュラBMW 1位(0点)
計38点→×

 

■ダニエル・リカルド(11年デビュー)
10年 フォーミュラ・ルノー3.5 2位(20点)
09年 英国F3 1位(10点)
08年 フォーミュラ・ルノー2.0 ユーロカップ 2位(7点)
(※2011年フォーミュラ・ルノー3.5 5位)
計37点→×

 

■ルイス・ハミルトン(07年デビュー)
06年 GP2 1位(50点)
05年 F3ユーロシリーズ 1位(40点)
04年 F3ユーロシリーズ 5位(8点)
計98点→◯

 

■ニコ・ロズベルグ(06年デビュー)
05年 GP2 1位(50点)
04年 F3ユーロシリーズ 4位(10点)
03年 F3ユーロシリーズ 8位(3点)
計63点→◯

 

■フェルナンド・アロンソ(01年デビュー)
00年 国際F3000(=GP2相当?) 4位(20点)
99年 フォーミュラ・ニッサン(国内F3相当?) 1位(10点)
98年 カート(0点)
計30点→×

 

■キミ・ライコネン(01年デビュー)
00年 フォーミュラ・ルノー2.0 ユーロカップ 7位(0点)
99年 フォーミュラ・ルノー2.0 英国ウインターカップ 1位(0点)
98年 カート(0点)
計0点→×

 

■ロマン・グロジャン(09年デビュー)
08年 GP2 4位(20点)
07年 F3ユーロシリーズ 1位(40点)
06年 F3ユーロシリーズ 13位(0点)
計60点→◯

 

■パストール・マルドナード(11年デビュー)
10年 GP2 1位(50点)
09年 GP2 6位(8点)
08年 GP2 11位(0点)
計58点→◯

 

■ジェンソン・バトン(00年デビュー)
99年 英国F3 3位(5点)
98年 英国フォーミュラ・フォード 1位(0点)
97年 カート(0点)
計5点→×

 

■ケビン・マグヌッセン(14年デビュー)
13年 フォーミュラ・ルノー3.5 1位(30点)
12年 フォーミュラ・ルノー3.5 7位(3点)
11年 英国F3 2位(7点)
計40点→◯

 

■ニコ・ヒュルケンベルグ(10年デビュー)
09年 GP2 1位(50点)
08年 F3ユーロシリーズ 1位(40点)
07年 F3ユーロシリーズ 3位(20点)
計110点→◯

 

■セルジオ・ペレス(11年デビュー)
10年 GP2 2位(40点)
09年 GP2 12位(0点)
08年 英国F3 4位(2点)
計42点→◯

 

■エイドリアン・スーティル(07年デビュー)
06年 全日本F3 1位(10点)
05年 F3ユーロシリーズ 2位(30点)
04年 F3ユーロシリーズ 17位(0点)
計40点→◯

 

■エステバン・グティエレス(13年デビュー)
12年 GP2 3位(30点)
11年 GP2 13位(0点)
10年 GP3 1位(40点)
計70点→◯

 

■ジャン=エリック・ベルニュ(12年デビュー)
11年 フォーミュラ・ルノー3.5 2位(20点)
10年 英国F3 1位(10点)
09年 フォーミュラ・ルノー2.0 ユーロカップ 2位(7点)
計37点→×

 

■ダニール・クビアト(14年デビュー)
13年 GP3 1位(40点)
12年 フォーミュラ・ルノー2.0 Alps 1位(10点)
12年 フォーミュラ・ルノー2.0 ユーロカップ 2位(7点)
11年 フォーミュラ・ルノー2.0 NEC 2位(7点)
11年 フォーミュラ・ルノー2.0 ユーロカップ 2位(5点)
計69点→◯

 

■フェリペ・マッサ(02年デビュー)
01年 ユーロF3000(AUTO GPの前身) 1位(0点)
00年 フォーミュラ・ルノー2.0 ユーロカップ 1位(10点)
99年 フォーミュラ・シボレー・ブラジル 1位(0点)
計10点→×

 

■バルテリ・ボッタス(13年デビュー)
12年 なし(ウィリアムズのテストドライバー専念)
11年 GP3 1位(40点)
10年 F3ユーロシリーズ 3位(20点)
計60点→◯

 

■ジュール・ビアンキ(13年デビュー)
12年 フォーミュラ・ルノー3.5 2位(20点)
11年 GP2 3位(30点)
10年 GP2 3位(30点)

計80点→◯

 

■マックス・チルトン(13年デビュー)
12年 GP2 4位(20点)
11年 GP2 20位(0点)
10年 GP2 25位(0点)
計20点→◯

 

■小林可夢偉(09年デビュー)
08年 GP2 16位(0点)
07年 F3ユーロシリーズ 4位(10点)
06年 F3ユーロシリーズ 8位(3点)
計13点→×

 

■アンドレ・ロッテラー(14年デビュー)
13年 WEC LMP1 2位(30点)
13年 スーパーフォーミュラ 2位(15点)
12年 WEC LMP1 1位(40点)
12年 フォーミュラ・ニッポン(SFに相当) 4位(7点)
11年 フォーミュラ・ニッポン 1位(20点)
計112点→◯

 

■マーカス・エリクソン(14年デビュー)
13年 GP2 6位(8点)
12年 GP2 8位(4点)
11年 GP2 10位(2点)
計14点→×

 

■ウィル・スティーブンス(14年デビュー)
13年 フォーミュラ・ルノー3.5 4位(10点)
12年 フォーミュラ・ルノー3.5 12位(0点)
11年 フォーミュラ・ルノー2.0 14位(0点)
計10点→×