勝者は正しい中からしか選ばれない

【2016.6.4-5】
インディカー・シリーズ第7-8戦 デュアル・イン・デトロイト
 
 
 土曜日のレース1で42周目にフルコース・コーションが導入されたとき、ポールシッターにして、そこまで倦怠的ですらあるほど完璧だったシモン・パジェノーが最後の給油へと向かったのは自然な成り行きで、当然の正解であることを信じて疑わなかった。そのときチーム・ペンスキーは4位までを独占する態勢を築いてレースを支配しており、パジェノーとともに2番手のウィル・パワーと4番手のエリオ・カストロネベスを同時にピットへと呼びこんだのは同僚と公平に勝負させるためで、雨が降ってくることも予想されていたなか3番手のファン=パブロ・モントーヤをステイアウトさせ、チームとして安全に勝利を取りにいったのだろうと受け止めたものである。もちろん優先されるのはレースと選手権でともに首位をゆくパジェノーであって、その存在を中心に据えて取るべき行動を機械的に決めていけば作戦はなかば必然的に決定する、ペンスキーにとってはそういうレースだったはずだし、最後のスティントはそんな最速チームの仕上げをあくびを噛み殺しながら見ていればいいように思えた。パジェノー、今季4勝目おめでとう。近年まれに見るハイペースでの勝利は選手権を大きく引き寄せたのだと、そういう結論なのだろう。あるいは、もしかするとパワーがちょっとしたいたずらをしかけるくらいの波瀾はあるのかもしれない、とその程度だった。
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